米国で新たに成立したステーブルコイン規制法が、イーサリアム(ETH)や分散型金融(DeFi)アプリケーションへの需要を高める可能性があると、複数のアナリストが指摘している。
トランプ米大統領が署名した GENIUS法 では、利回り付きステーブルコインの発行が禁止された。この種のステーブルコインは、ステーキングや貸付などの仕組みを通じて保有者に利回りを提供するものであり、機関投資家や個人トレーダーにとって重要な利子獲得手段となっていた。
仮想通貨アナリストのニック・パックリン氏は、「ステーブルコインでの利回りが排除されたことで、利子収入の収益源としてはイーサリアム基盤のDeFiが有力な代替手段となる」と指摘。「これはイーサリアムにとって朗報だ」と語った。
ステーブルコインの利回りは、単なる収益手段にとどまらず、法定通貨のインフレ効果を相殺する機能も持つ。
コインファンドのクリストファー・パーキンス社長はコインテレグラフに対し、「ドルは利回りのない減価資産であり、その価値を維持するにはDeFiの利回りが必要だ。ステーブルコインの夏は、DeFiの夏へと移行していくだろう」と述べた。
利回り機会は個人投資家にとって魅力的なだけでなく、株主への責任を負い、受託者責任を果たす金融機関にとっても極めて重要だ。資産のキャッシュフローや利得を生み出さなければ、これらの責任を果たすことができないからだ。
このようなニーズはDeFi市場にとって大きな追い風となり、金融機関が利回りを求めてオンチェーンの仮想通貨市場へと流入する可能性が高まっている。
利回り付きステーブルコインに対する反発
3月のDCブロックチェーンサミットにおいて、米国のキルステン・ギリブランド上院議員は、「利回り付きステーブルコインは従来の銀行業を壊滅させる可能性がある」と 発言した 。
同氏は、ステーブルコイン発行企業が顧客に利子を還元するようになれば、従来の銀行サービスへの需要が減り、伝統的な金融システムが崩壊する恐れがあると主張している。
「地元の銀行に預金する理由がなくなったとき、誰が住宅ローンを提供するのか?」とギリブランド氏は問いかけた。
これに対し、ニューヨーク大学のオースティン・キャンベル教授は 5月のX投稿 で、銀行業界は利回り付きステーブルコインに脅威を感じていると指摘。同氏は「こうしたトークンは銀行の利益を侵食するため、利回り反対派の議員は“カルテルの保護”に加担している」と述べている。
テザーの共同創業者であるリーヴ・コリンズ氏も、利回り付きの法定通貨トークンの競争力が、やがて従来型ステーブルコインを駆逐すると予想する。
コリンズ氏はコインテレグラフに対し、「法定通貨担保型でも合成型でも安定していると信じられているならば、より高い利回りを提供する方に人は惹かれる」と語った。
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